小さい頃、母親が朝から夜の11時辺りまで仕事で、父親が何もかもやってくれていた生活だった。
絵本を作る仕事をしていたお父さんは、早速作った絵本をあたしに何度も読み聞かせをしてくれていた。
だけど、人生ではじめての入学式だという前日に、お父さんは事故に遭って亡くなってしまった。
そんなこともあり、お父さんが読んでくれていた頃から本が大好きになり、今でもこうして大好きなのだろうと思う。
あたしはどんどん進んで行き、読みかけの本を手にとった。だけど、少しはみ出ていた紙の部分を掴んでしまって、静かな図書室にはビリッ、と大きく破れた音に続き、バタンという本が落ちる音が響いた。
「え」
あたしはその場の状況を理解できず、落ちた本と破れた紙をただただ見つめていた。
音を聞いたのか、片桐先輩が慌ててやってきて、あたしの足元を見てただただ凍っていた。
だけれど、片桐先輩はあたしとは違って、にこっと笑った。
「俺さあ、同じ本家にあって、それ図書館用にしてもいいんだけど」
その言葉にあたしはぴくっと体を震わせた。
「正直に謝って、弁償したで済ませればいいと思うんだけど」
あたしはごくりと唾を飲み込んで、チラッと片桐先輩の方を見た。
「えと……それ」
あたしが言う言葉をわかっていたかの様にその言葉を遮って、片桐先輩は言った。
「俺と付き合うなら、助けてやってもいいよ?」
「はい?」